Before (改善前)

板金加工では、穴の開いている付近を曲げ加工すると塑性変形によって穴の形状が変形します。穴の形状が変形してしまうと、穴精度不良や外形寸法不良となってしまいます。これを防ぐためには、設計段階で変形の起きない距離に穴を設置します。もしくは、曲げる前にブランクの加工機で穴加工せず、曲げ加工後に、穴位置をケガキ、ポンチを打ってドリルにて穴あけ作業を行うなどの対策を行いますが、加工工数が増えるためコストアップになってしまいます。

V

After (改善後)

曲げ加工前に穴加工をするとともに、レーザー加工で穴付近の曲げ線部にスリット加工をすることで、曲げ加工時に穴形状の変形を防止することができます。それにより、穴の精度不良や、外形部の寸法不良になることなく加工することができます。また、曲げ前に工程を集約することができる（複合加工機があれば、曲げ加工前に1台で穴あけ、スリット加工が可能）ので、品質の向上だけでなく、加工工数を圧縮することにもつながります。

POINT(要約)

設計の時点で、変形の起きない穴位置を考慮するためには、板厚ごとに曲げ変形の起きる範囲を知っておくことが重要です。しかし、どうしても曲げ変形の起こる範囲での穴位置が必要な場合もあります。外観や性能上で問題がなければ、スリット加工により工程集約をし、穴変形の起きない位置にて低コストに加工を行うことができます。